さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニック 公式ブログ

札幌市中央区南部(山鼻・伏見・幌西地区)および札幌市南区をカバーする、糖尿病専門医・内科専門医によるクリニックのブログです。

カテゴリ: 診療成績・実績

202210患者数集計01
2018年の開院当初は、糖尿病専門医のいる、糖尿病内科のある病院やクリニックが山鼻地域やそれ以南では殆どなく、「糖尿病クリニック」で何を診てくれるんだろう?と思われた方も多かったのではないかと思います。しかし、主に都心部の病院・医院からお住まいに近いクリニックへ、等々の理由にて当院へご紹介となった方、当院ホームページやSNS、FMラジオなどで当院のことを知ってご来院された方など、当院に通院される糖尿病患者さんは年度を追うごとに増加し、開院満4年で700人近くにまで上っております。


202210患者数集計02
当院の糖尿病患者さんの約7割は中央区内にお住まいの方ですが、最近はとくに山鼻・幌西・曙・南円山地区といった、当院まで徒歩や市電などにて通院できるエリアからの患者さんが増えているように見受けられます。中央区外では南区にお住まいの患者さんが目立って多いですが、豊平区や白石区の方も増えてきております。


202210患者数集計03
これまで他院に通院されていた方が「自宅から近いところに当院ができた・当院があるのに気づいた」、また「糖尿病については糖尿病専門医に診てもらいたい」ということなどで転医されるケースが、過去の集計と変わらず最も多くなっておりますが、ここ1~2年では「健康診断で血糖高値や尿糖陽性を指摘された」ことで初診される患者さんが大幅に増加しました。
他の医療機関からのご紹介にて初診される患者さんも増加し、全体の20%強を占めるようになりました。


202210患者数集計04
糖尿病は主に「1型」「2型」の2つの病型があり、その両者で治療方法は大きく異なってきます。そのため、当院を初診されかつ過去に糖尿病治療歴のない患者さんについてはほぼ全例で「1型か2型か」の病型判定を行っております。
一般的な統計では、糖尿病患者さんの約95%が、すい臓から分泌されているインスリンの働きが悪くなっている「2型糖尿病」であり、当院での集計結果ともほぼ一致しております。当院初診・初療患者さんの約40~50人に1人くらいの割合で、注射によるインスリン補充を必要とする「1型糖尿病」が見受けられますが、かつて行われていたような「即入院」では決して無く、通院しながらインスリン治療や自己血糖測定等の導入を、当院開院以来数々の患者さんに対して行って参りました。
ほか、妊娠中におこる「妊娠糖尿病」についても、各病・医院の産科と連携しながら当院で診療した実績もあります。
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開院当初は、「糖尿病を診ているクリニック」ということがあまり知られていなかったことなどもあり、糖尿病の患者さんは多くありませんでした。

しかし、2019年に入り、当院が徐々に皆様に認知されるようになり、また札幌都心部にあった一部の糖尿病専門クリニックの閉院なども重なり、当院へ受診・通院される糖尿病患者さんは月を追うごとに増えていきました。

2020年はコロナ禍の影響で伸びはやや鈍化しておりますが、10月には定期通院糖尿病患者さんが上図のとおり400人を超えました。


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糖尿病以外もそうですが、当院に通院されている患者さんの70%以上は中央区にお住まいの方です。中央区南部の山鼻という地の利、また札幌市の北部と比較して南部では糖尿病専門医が多くないこともあり、南区からの患者さんがとくに2020年に入ってから増加してきております。


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当院を受診するきっかけとして最も多いのは、これまで他院に通院されていた方が「自宅から近いところに当院ができた・当院があるのに気づいた」、また「糖尿病については糖尿病専門医に診てもらいたい」ということなどで転医されるケースです。また、他の医療機関からのご紹介にて初診される患者さんも少しずつですが増加してきております。


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当院の糖尿病患者さんの大部分は、すい臓から分泌されているインスリンの働きが悪くなっている「2型糖尿病」ですが、インスリンの分泌自体がなくなってしまっている「1型糖尿病」の患者さんもおられ、強化インスリン療法など様々な治療法に対応しております。


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最後に、当院に6ヶ月以上定期通院されている2型糖尿病患者さんのヘモグロビンA1c(HbA1c)の推移をお示しいたします。集計対象となった307人の患者さんひとりひとり、背景や合併症の有無などさまざまですが、全員を平均すると初診時から約4ヶ月でHbA1cは1%強改善し、以後もその状態が維持できているという結果になりました。
血糖コントロールを改善させ、かつ良好な状態を維持することは大事ですが、それ以上に重要なのは「合併症を起こさせない・合併症を重症化させない」ことです。血糖コントロールがある程度改善した後から合併症が生じることも実にしばしばあります。
当院は、血糖管理のみならず、「合併症の予防・早期発見・重症化防止」のために、さまざまな仕組みを整え、スタッフ一丸となってこれからも日々努力を重ねてまいります。
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新型コロナウイルス感染拡大と緊急事態宣言、そして外出自粛といった2020年4・5月期。
公的アナウンスの中には病院受診までもが「不要不急」と捉えられるものがあったり、また一部の医療機関で集団感染(クラスター)が発生したこともあり、医療機関への受診を気持ち的にためらってしまう方も少なくなかったと思います。しかし、当クリニックは患者さん達の不安を和らげられるような取り組みや、受診ルールの工夫などを行いながら、コロナ禍の中でも平常通りの診療を継続しておりました。


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患者数(電話再診等も含む)は、4月に比して5月は減少したものの、糖尿病患者さんは日によってばらつきはありましたが、診療日の全てでご来院があり、また新規糖尿病患者さんのご来院(他院からのご紹介や、札幌への転入に伴う転医)もありました。

 

さて、糖尿病患者さんの血糖コントロール状況ですが、ヘモグロビンA1c(HbA1c)には季節変動があり、3月頃が1年の中でのピークとなってその後は夏・秋に向かって低下傾向となるはずが、4月、そして5月と、2か月連続で上昇がみられました。年中で最も高くなるはずの2・3月期よりも4・5月でHbA1cが高くなるというようなことは、これまでの調査報告にはなく、コロナ禍が大いに影響していると考えざるを得ません。

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2・3月平均と比較して4月あるいは5月にHbA1cが0.3%以上上昇した患者さんは約半数を占め、また2・3月よりも体重が1kg以上増加した患者さんも約25%にのぼっておりました。


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外出自粛による身体活動量の低下(運動不足)や、相対的な過食(食べ過ぎ)などによって、血糖値や体重が増加したものと考えられますが、緊急事態宣言が解除された6月以降もしばらくこの影響は残るものと思われます。
やや脱線しますが、当クリニック院長はかつて帯広の総合病院で、HbA1cが夏季よりも冬季に+0.5%以上増加(季節変動)する患者さんでは糖尿病合併症のリスクが上がるかもしれないという調査結果をまとめ、専門学会誌にて報告いたしました。今回は「コロナ禍」という、季節変動とは違った状況でこうしたことが起こっておりますが、

 

「これまで糖尿病の治療を受けてきた患者さん」
「以前に糖の異常(血糖値・尿糖)を指摘されたけど、受診も再検査もしていない方」も、
理由はどうあれ、「コロナが終息してから受診」では、糖尿病自体の悪化、さらには合併症の発症や進行を来たして
手遅れになってしまいます。
受診がまだの方、あるいは治療薬などを1か月以上切らしている方は
コロナの「第3波」が来る前にまず受診し、必要な検査を受け、治療を開始(または再開)することを強くお勧めします。

 

★糖尿病をもつひとが、この「コロナ禍」とどう向き合っていくか?  日本糖尿病協会の特設ページにとても分かりやすくまとめられていますので是非参考にして下さい。


日本糖尿病協会の特設ページへ

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当院も開院1年が過ぎ、今回は開院から1年間における糖尿病診療の実績を以下にお示ししたいと思います。

なお、今回は転出などにより当院フォローから外れた患者さんを除外して再集計を行いました。

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当院でフォローさせて頂いている糖尿病患者さんは、2019年6月を境に大幅に増加し11月末で284名、その後も日々新患の方が来院されており現時点で約300名に達しております。


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当院が位置している中央区にお住まいの患者さんが全体の3/4を占めておりますが、中央区以外の区では南区からの患者さんが引き続き増えてきております。南区から石山通(国道230号線)などを経由して都心へ向かうルートの途中に当院が位置する山鼻地区があるという関係上、お車でも通院しやすいのではないかと考えております。

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2型糖尿病の患者さんのほかに、1型糖尿病の患者さんも1年間で10人を超えました。他院からの転医のほか、当院で初めて診断・治療を開始することとなった1型糖尿病患者さんもおられました。1型患者さんを対象とした持続皮下インスリン注入療法(CSII)の実績もあります。


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2019年5月末に旧・大通り内科クリニックが閉院し、同院に通院されていた方が当院へ数々転医されたことは、6月以降に患者さんの数が増加した要因の一つではありますが、検診で尿糖・血糖異常を指摘された、総合病院などからのご紹介などにて来院される患者さんも増えてきております。


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当院開院から1年が過ぎ、病歴も病状も様々な患者さんが受診されるようになりました。初診時からHbA1c10%を超えるような高血糖の方、病態的にコントロールが難しい方も数々おられますが、それでも初診から6ヶ月でHbA1cを約1%ないしそれ以上改善できることが多いです。
それは単なる薬物療法の効果というだけではありません。当院は常勤の管理栄養士がによる栄養相談(食事指導)や、看護師による療養指導など、医療スタッフが一丸となって患者さんに寄り添い支える糖尿病診療を開院以来大切にしております。決して「押しつけ」ではない、患者さん1人1人とじっくり話し合う当院の栄養相談は大変好評を得ており、糖尿病以外(高血圧、脂質異常、痛風、貧血…)の方の栄養相談も随時行っております。栄養相談については こちらのページ もご参照頂ければ幸いです。

 


以上、当院開院1年間の糖尿病診療の実績・実態をお示し致しましたが、糖尿病合併症-とくに「糖尿病腎臓病」が出現、あるいは疑われる患者さんが当院でも最近増えてきております。糖尿病患者さんを腎不全や人工透析、その他の合併症にしない・悪化させないような早期発見・早期対策が重要と考えております。また、当院でも約5%の糖尿病患者さん(今回の集計からは除外しております)が治療中断されていることが明らかになりました。全国統計では約10%の患者さんが中断しているとされておりますが、糖尿病やその合併症を確実に悪化させる「治療中断」をいかに防いでいくか、水際での対策が重要と思われます。患者数の増加やHbA1cの改善だけでなく、これらの課題への取り組みこそが、当院の2020年のミッションと考えております。

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前回(2019.3.4)は開院から2月末までの診療実績をお示ししましたが、その後3か月間の実績につきまして報告いたします。

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2,3月と比較して、4月は大幅に受診患者さんが増加しました。10連休にて診療日数が少なかったにもかかわらず、5月は開院以来最高の252名の患者さんが来院されました。


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当院でフォローさせて頂いている糖尿病患者さんは3月に100名を超え、4月・5月とさらに増加し、5月末時点で154名に上っております。


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4月より市電車内アナウンスもさせて頂いているためか、中央区内からの来院患者さんは前回報告よりも約2倍に増加しました。ホームページやSNSなどをご覧になって、中央区外や札幌市外からの患者さんも新たに来院されています。


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患者さんの約9割が2型糖尿病であることは前回報告と変わりありませんが、検診で指摘され当院でブドウ糖負荷試験を行った結果「境界型」の診断になった方も7名増加、また皮下持続グルコース測定(CGM)を行った1型・2型の方もおられました。


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前回報告と比較して、他院からご紹介頂きました患者さんがこの3か月間で20名もおられ、総数35名となりました。また、これまで札幌市外・北海道外におられた方で、転居にともない当院での継続フォローを希望されて来られた糖尿病患者さんもおられました。


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最後に、当院に3か月以上通院されている患者さん(5月末時点で83名)のHbA1c推移をお示しします。初診時の平均は7.70%、1~2か月後に著明に改善し、3か月後には7.12%(初診時より-0.58%)となっておりました。

次回は8月末~9月初旬頃にデータを報告させて頂きます。よろしくお願い致します。
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