2021年11月。さっぽろ山鼻内科・糖尿病クリニックは開院3周年の節目の月を迎えました。また、今年は糖尿病の病態そして治療の上で大きな役割をもつ「インスリン」が発見されてちょうど100周年でもあります。
これらを記念して、11月3日・文化の日の夜20~21時に、FMラジオカロスサッポロにて特別番組を放送させて頂きました。

司会を院長の澤田がつとめ、ゲストには札幌市北区新琴似にある、高野山真言宗惠弘寺の足立隆厳住職をお迎えして、「一病息災」をテーマに医師と僧侶の対談形式でお送り致しました。足立住職は福岡県のご出身で、会社員を経て仏門に入門、2014年に高野山真言宗惠弘寺を建立。FMラジオカロスの番組「仏僧naまんでぇ」「ナイトジャンク」にてパーソナリティを務められているほか、札幌市保護司、そして北海道内に現在7名しかいない臨床宗教師として、非常に多岐にわたるご活動をされております。

番組にて足立住職からお聴きした主な内容としては、

①「あなたは○○(糖尿病など)」と診断された時の心構え
・仏教からとしては、まず、病を「個性のひとつ」として受け入れましょう。何故ならば貴方がそうなるように生きてきたからです。
・病気になった、診断されたならば、まずは現代の医学・医療を頼って、まず病院で診てもらい、そして今が自身の生活習慣などを見直すきっかけ、チャンスなのだと心を切り替えましょう。
・自身の身体は何かしらの異変を教えてくれていたのかもしれないのに、それを逃して病気が悪化してしまっていることも良くあるのではないでしょうか。自分をじっくり見つめなおす、日頃の(身体の)変化をどこかで感じ取る時間を持つことが大切です。
・貴方の「こころ」でもって「医療」と向き合う。自分自身の精神を正しい方向へ導く。そう言った環境を自分でつくることができれば、病というものもそれほど苦しいものではないはず。

②病気と「つきあう」とは?
・病を受け入れたくないという思いは誰にでもあるでしょう。しかし現実とも向き合って、病を良くしよう、治そうという努力が必要です。
・患者が自分自身で「生活の中での工夫」をすることが現実的には大事。もしその工夫が十分に出来ない要因があるならば、そこは医師からの処方薬でカバーするしかない。
・自分自身が持つ「治癒力」を信じることが一番大切です。「病は気から」と言いますが、病気になった、診断されたからといって落ち込んでいても前には進めないのです。

③「一病息災」をどう考えるか?
・人間、年老いれば何かしらの「ガタが出る」のは当たり前のこと。
・手を合わせて「合掌」するのは何故か?それは、謙虚に生きることをもう一度見直す時間なのです。その時に例えば「昨日飲み過ぎちゃったなぁ」などと思ってそこで悔い改めることができるか。神仏にただ一方的に助けを求めるのではなく、神仏がいて我々は先祖に守ってもらっている、助けてもらっていると考えることができるか。それらが出来るのであれば決して無茶な生き方をしているわけではないと思います。
・病気になったらお守りなどにすがればそれで良いというわけではありません。奈良のとあるお寺は「癌封じ」で有名ですが、癌で余命宣告された人がそのお寺で祈願して癌が消えたというのは、その人が一生懸命に悔い改め、自分の生き方を見直すきっかけをそのご祈祷の中で授かった、それによって心の中で何かが芽生えた、救われるにはまず自分自身が足元を固めて生活も見直さなければいけない、自分が先祖からもらった身体をいたわらなくてはいけないという心がわいて、自分自身のもつ自然治癒力も高まったということなのかも知れません。
・しかし、それが可能になる前提としては、まず病院にかかって、自分の身体と自分の病気をよく知って、担当医を頼って(身体をいたわり病気を良くしていくための)アドバイスを色々聞くこと。そして、患者と医師の二人三脚で病と向かいながら、心は悔い改め、身体を大切にすることで、病を良くしていく・治すということが可能になるのではないでしょうか。

④臨床宗教師の活動について
・正式名称は「日本臨床宗教師会認定臨床宗教師」
・全国には200名強、北海道内には7名、札幌市内には足立住職含めて2名。
・2011年の東日本大震災をきっかけに作られた資格で、東北大や上智大など色々な大学などでの講義・講習を受ける必要があり、資格取得までに2年ほどかかる。
・主な活動としては、緩和ケア病棟での患者の傾聴、災害ボランティアとして炊き出しや傾聴など。
・仏教、神道、キリスト教など宗教や宗派を問わず様々な臨床宗教師がいるが、活動を通しての布教は行ってはいけない。
※詳しくは日本臨床宗教師会のホームページもご参照ください。


⑤そのほかに
・お坊さんはお釈迦様からの教えを学んでいるので、「どう生きていけば楽になれるか」という事を、他の人々より多少なりとも知っており、それを人々に伝えていくのがお坊さんの役目。人々と同じ目線で、同じ気持ちになって、どうサポートできるか、寄り添えるか。その人と一緒になって、色々なことを共に考えることが、医療界も仏教界も大切にしなくてはならないことと思います。
・医師も、僧侶も、人々が生きていく中での「応援団」であるべきです。悩める人ファーストで、我々はサポーターで。病気を治す主役は患者さん。サポーターは家族や周りの人、医療者、そしてその人の「信仰」も。

放送の音声はYouTubeにてオンデマンド配信を継続しています。是非お聴きください。