開院して1ヶ月の間、多くの方がインフルエンザワクチン接種のために来院され、また残念ながらインフルエンザを発症された方がこの1週間で最低1日1名受診されています。

来院・受診された方々からのご質問もございましたので、当院としての考え方を述べたいと思います。

1) 今季受験を控えているのですが、インフルエンザワクチンを2回接種した方が良いのでしょうか?

教育熱の高い地域ならではのご相談と思いました。私(院長)も高校生の子がおり、試験前の追い込みの時期にインフルエンザなどに罹らせてはいけないという考えは一緒です。
さて、13歳以上の健康なヒトについては、インフルエンザワクチンの1回の接種で、2回接種と同等の効果が得られるとの報告があること、基礎疾患があって免疫機能が著しく抑制されている状態にあるなどの場合に、医師の判断の元に2回接種が行われる場合があると、厚生労働省のサイトに記載されております。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

このような成人であっても、大流行が予想されるシーズンならば2回接種すべきだとの意見もありますが、明確な結論は得られていないのも事実です。どんな場合でも予防の基本は
・1回のインフルエンザワクチン接種
・こまめな手洗い、流行期にはうがいも
・適切な栄養摂取と規則正しい生活
であると考えますが、それでも2回目接種をという場合は個別にご相談頂きたいと思います。

2) まわりでインフルエンザが流行している。タミフルを予防的に内服したい。

タミフル含め抗インフルエンザ薬は、感染したあとでのウイルス増殖を抑える薬であり、ウイルスそのものを消滅させることは出来ません。
添付文書上は「予防投与」についての記載もありますが、服用している間しか予防効果がない、しかもその予防効果も絶対的なものではなく、予防投与したのに罹るということも有り得ます。
家族内でインフルエンザに罹った人がいた、自分も仕事、受験生の子供がいるし…と仰るお気持ちも理解できます。しかし、そうした理由で(仮に保険適用外の自費医療であっても)、症状がないのに抗インフルエンザ薬を使用することはメリットよりもデメリットの方が大きいと考えます。
当院では、感染・発症予防を目的とした抗インフルエンザ薬の自費処方は、現時点では行いません。
なお、当院の近隣は医療機関にお勤めの方も多いと思いますが、インフルエンザの予防に関しては各々がお勤めの医療機関(の感染対策室、もしくは院長)にもご相談頂ければと思います。